Empinado91S+
Empinado91S+(エンピナード)はTRANSCENDENCEの技術を集結して作られた「対磯ヒラスズキ」用専用ロッドです。磯ヒラゲームのシチュエーションに応じて10.8ftのレングスを専用設計とし、9.1ftにレングスが可変する2in1システムを採用。
ヒラスズキゲームを楽しむために必要とされたのがロッドの携行性です。マルチピースロッドにすることによってロッドをバッグや体に装着することができ、両手を空けた状態で釣り場へエントリーすることができます。これは沖磯へのアクセスへも両手で泳いでエントリーが可能であるため、圧倒的な遊泳力と安全マージンが広がります。
磯ヒラゲームは、アクセスの容易ではないフィールドが多く、山道や崖、藪を経由して釣り場に行くことが当たり前の釣り。その際、両手を空けた状態で歩くことが何よりも安全。さらに、こういった道をあるく際、ロッドへのダメージはかなり大きいと言えます。
エンピナードは防水バッグや簡易的なロッドケースや専用のロッドケースなどに収納することによってロッドへのダメージを極限まで削減することができます。
ヒラスズキゲームに必要な基本性能をしっかりとマルチピースロッドに詰め込み、これからヒラスズキを始めるアングラーから玄人まで納得出来る1本がEmpinado91S|108Sです。
Empinado91S / 108S|fishing style
Empindado91S+は、磯ヒラスズキゲームに特化して開発されたロッドです。そのため、ヒラスズキ釣りに必要ないものは徹底的に排除しました。その結果、圧倒的なバランスの良さを実現し、携行性だけではなく、飛距離、ピンポイントキャスト性能、バラシ率の激減など非常に使いやすい最高のヒラスズキロッドが誕生しました。
開発時、青物や根魚でのテストを行っていますが、これらを視野にいれるとまた違った設計思想になるため、Empinado91S+はあくまでも磯でヒラスズキを釣るために作られたロッドに仕上げました。
ルアーの動きを妨げないロッドバランス|Lure
Empinado91S+はヒラスズキゲームで使う100mmから150mmのフローティングミノー・シンキングミノー・トップウォーターを使用することメインに考えられたロッドです。
風速10m/sのような強い風が吹いているときにもしっかりとルアーのウエイトがブランクス全体に乗り、弾性が高いバットセクションとベリーセクションが身体から繰り出される力を余すことなくルアーに乗せることができ、風を切りながらルアーをライナーで投げることができます。
また、ルアーの動きを妨げない、ティップセクションが複雑な流れの中で動き、漂うルアーの動きを殺さず、ルアーに最適な動きを演出します。
また、適正使用ウエイトは14g〜56gに設計されています。140mmのダイビングペンシルや60gのメタルジグも使用することも可能です。不意な青物とのファイトは想定していますが、青物兼用として開発したものではありません。
コスメ・ロッドパーツ|Cosmetics & Rod parts
9.1ftと10.8ftにした意味|LENGTH
Empinado91S+2は、2in1システムを採用しており、1セットで2種類の長さに可変することができるロングロッドです。もちろんヒラスズキ専用設計のEmpinado91S+は磯が主戦場であるため、10.8ftをメイン設計にしました。
10.8ftという長さは、風速10m/sの状況でもしっかりと振り切ることができれるレングス。そして、マルチピースロッドとして最高のバランスであったためです。また、主にテストを行った伊豆半島を中心に、房総半島、紀伊半島、大隅半島、薩摩半島において、11ft後半や12ftのレングスを必要とする場面が少なかったためです。
Empinado108はキャストフィールを大切にしてマルチピースとは思わせない張りを実現しました。
9.1ftは近年人気になっている大型のルアーを用いたシーバスゲームに最適です。秋のコノシロパターンやボラパターンに使う15cm35g以上の重たいルアーをしっかりとキャストすることができます。また、シーバスロッドとしてはパワーがあるので一気に魚を引き寄せることができます。9ft後半のロッドは35g以上の重さになってくると投げるのが非常に大変になり、シーバスゲームのようなキープキャストが必要な場合、疲労感が溜まってしまいます。エンピナードは、グリップエンドがシーバスロッドに比べ長いため、9.1ftという長さでありながら、8ft後半のロッドのフィーリングでルアーを投げることができます。今までのシーバスロッドにはなかなかないパワフルな9ftロッドがEmpinado91Sです。
小さなこだわり|Committed to Quality
他の釣りだと気にしない小さなことが、ヒラスズキゲームのようなロッドへの負担が大きい釣りにおいて大きな違いを生み出します。それがEmpinado91S+に詰め込まれた小さなこだわりです。
まず、ロッドの仕舞寸法を600mmにした理由は、磯で必要な10.8ftのロッドを6ピースロッドにするためです。少しのポイント移動の際、2ピースのように折りたたんで釣り場に行くほうが安全の場合があります。その際に7ピースや5ピースのように奇数にするときれいに2ピースにすることができず、破損のリスクを高めてしまいます。
次に、#1セクション(ティップセクション)は、全体の600mmよりも20mm短く設計しています。これはパックロッドにした際や2ピース状態で移動する際にティップを守る役目があります。
また、後日発売予定のEmpinado91S+を中心に設計したクッション素材を採用した磯用ロッドケースは磯へのアクセスを快適にするだけでなく、人間とロッドの安全性を圧倒的に高めました。
ガイドセッティング|Guide Setting
Empinado91S+は、Fuji製のトルザイトとチタンSiCの混合ガイドセッティングにしています。まず、トップガイドはRGのチタンSiCを採用しています。それは、トルザイトの軽さを採用するよりもリングの強度を優先するためにSiCを採用することにしました。
トップガイドより下4つはキャストフィーリングに大きく関わって来る部分です。より軽く振り抜きの良さを追求するためにここだけチタントルザイトを採用しました。それ以降のガイドにはチタンSiCを採用しています。
10.8ftと9.1ftでバット側に配置されたガイドとなる部分には、ガイドが曲がらないようにダブルフットであるTKWSGを採用。2ピースで移動する際にツタなどにガイドが絡まり変形してしまうのを防止します。
キャストで重要なグリップエンド|End Grip
従来のヒラスズキ用ロッドの多くが青物兼用であることから、ヒラスズキ釣りに必要なパワーよりもパワーがあるものが多く、グリップの長さも長く、重いルアーや遠投をする際にはグリップエンドが長いメリットが発揮されます。
しかし、エンピナードは手前の根回りや磯周りをキャストするためにキャストアビリティを重要視しました。そのため、若干他社メーカー様のロッドに比べグリップエンドが短くなっています。
ロングキャストにも対応できるギリギリのラインをミリ単位でテストをして作り上げました。これによりショートディスタンスでの低弾道ライナー性のキャストがよりやりやすくなりました。
ヒラスズキ以外での使用用途|Other Use
Empinado91S+は圧倒的なバランスの良さから幅広いターゲットに対して汎用性のあるロッドに仕上がりました。あくまでもヒラスズキ専用ロッドとして開発されたため、過度な抜き上げなどは禁物です。Empinado91S+をヒラスズキで使い込んだ上で他の釣りにも応用してみて下さい。
10.8ftバージョンはという長さを用いたライトショアジギングも使用可能です。メタルジグの重さは60gまで快適にアクションすることができます。ワラサやカンパチ、ハタ系を狙うことができます。
ショートバージョンである9.1ftはシーバスゲームにはもちろん、南西諸島でのリーフのプラッキングゲームにも使えます。
Empinado91S+にかける想い
ヒラスズキは憧れの魚。
最初の1匹に出会うまでは非常に難しく、それがまた楽しい時間。また、新しい磯・新しい地域で釣るヒラスズキは格別に嬉しい。そんな特別なヒラスズキ釣りには常に「危険」が隣り合わせである。
山を降り、崖を下り、海を泳ぎ。一般の人が感じることができない快感がヒラスズキ釣りにはある。
そんな魅力に取り込まれるアングラーは少なくないはず。
私もその一人。年々、ヒラスズキ釣りの装備は進化している。より「安全」に釣りを楽しむために靴やライフジャケット、ウエットスーツなどの技術が進んでいる。
しかし、ロッドは従来どおり2ピースもしくは3ピースのロッドが主流のままだ。悪条件での釣りが強いられるヒラスズキ釣りにおいて、ロッドの性能は非常に重要である。
故に今まだはロッドに対して「安全性」よりも「快適性」に進化が続いていた。
しかし、より「安全」にとするならば、片手にロッドを持った状態で磯場にエントリーするよりも両手をフリーにした状態、マルチピースロッドにしたほうがより安全といえるだろう。さらにTRANSCENDENCEが持つパックロッドの技術は、従来では完成させることができなかったロングロッドのマルチピースロッドを作り上げることができる。
ロッド全体を高弾性に仕上げ、セクションごとに設計を変えていく。
セクションごとに設計を変え、ありとあらゆるパターンを試し、テストを行った。理想に近づくまでには多くの失敗とテスターとの意見の相違があった。それでも諦めずに3年間テストし続けたロッドだ。
TRANSCENDENCEはヒラスズキ釣りを安全に楽しむための一つの手段としてマルチピース化をおすすめしていきたい。
エンピナードはこれからのヒラスズキ釣りを変える1本の竿になることを願っています。多くの人にエンピナードを手にとってもらい新たなヒラスズキ釣りのスタイルを体感して下さい。
山根正之
ヒラスズキという魚
波がぶつかりシブキを上げて砕け散るような磯からゴロタやサーフのようなシャローまで、条件さえ揃えばありとあらゆる場所で釣れるヒラスズキという魚。
逆に言えば、条件が揃わなければどこに行っても出会えない魚でもあります。そして運良く出会えたとしてもエラ洗い一発で簡単にバラしてしまう。
そんな魚だからこそ、一匹でも多くの魚と出会うためにはより多くの場所をランガンすることが必要です。
固有の場所や決まったパターンを好むアングラーなら専用のスペシャルなロッドを持つのがベストでしょう。
しかしランガンするということは様々なエリアで様々パターンに対応できないといけません。
・ピンポイントで着いた魚を狙いキャスト精度が求められる点の釣り
・着き場を探り瀬や流れをトレースしていく線の釣り
・回遊する個体を広く探る面の釣り
それらをバランス良く行える竿がエンピナードです。
具体的には強風下でもキャストやラインコントロールがしやすく沖のシモリや複雑なスリットを舐めるように通してきたり、絶壁ポイントの足元までミノーが飛び出さないように流したり、シンペンを適度なラインスラックで流し込むローテンションドリフト等にも対応できます。
ランガンの際の釣り場へのアクセスに関しては、パックロッドで両手フリーになることで岩場や角度のキツい山道も安全にスムーズにアクセスできるようになり、近場のチョロ磯なら6pcsという分割ロッドのおかげでラインを通したまま、2pcsとしても3pcsとしても分割して持ち運ぶことができます。
ある人は何時間も車を走らせ、ある人はフェリーに乗り、またある人は飛行機に乗って、山を登り、崖を降り、海を泳ぎ、磯を走り回る。
それを、1日に何箇所も。それは通い慣れた磯ばかりではなく、新しく開拓した未開の地であったり、遠征先の未知の領域であったり。
ドン深絶壁ポイントからゴロタの水深1m以下のドシャローエリアまで、どこでどのサイズが来るかわからないヒラスズキを相手に一本の竿で挑み続ける。
そんなどこまでもヒラスズキを追いかけるフリーク達の為の竿を目指しました。掛ける、いなす、止めるを積極的にこなし、使い手に技術を求め、使い手の技術を引き出し、最高の一匹を手に入れられる竿になってくれるはずです。
宮口竜